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そんでもって
 
まじで10分で書いたパラレルメイドバレンタイン駄文(?)↓
ふと思い立った。こんなんでないですかパラレルメイドは。メイドだもんね。そうそうチョコ渡せないでしょう。ちなみにカップル化前です。


「………………。」

カチカチと、いつもより大きな音を立てて進む秒針。
寝付けない頭。
明日も早いのに、早く寝なければならないのに。
気にしないでおこうと思うほどそれは気にかかって、どうしても時計を見てしまう。

今日に残された時間はあと、10分。
窓から見える二階の部屋には、明かりがついたまま。

少女はため息をついて、ベッドから体を起こした。



こんこん、と静かにノックをする。
少しの間の後、応じる声が聞こえて、少女はいつもより遠慮がちにドアを開けた。

「失礼します……」
「水結?」

正面の机に、数時間前と同じ姿。
驚いた表情の彼に、ぺこりと頭を下げて。

「お飲み物をお持ちしました」
「どうしたんだい?こんな時間に」
「あの……部屋からこちらの明かりが見えて、それで……気になって。
 その、あまり無理をなさらないで下さいね」
「……ああ、ありがとう。でも君も休まないといけないよ。こんな時間まで仕事をする必要はないんだからね」
「はい」

妙な挙動をしないように、普通を装って机に近づいて。
トレイのまま、カップをそこへ置く。
少しだけ、笑みが浮かんだ。

「───では、先に休ませて頂きます。旦那様も出来るだけ早くお休みになって下さい」
「ああ、分かっているよ」
「明日はいつもの時間に参りますので」

手を挙げて応えた彼に、少女はもう一度丁寧に頭を下げ、部屋を出た。


「……?」

ぱたんとドアが閉まるのと同時に、ふわりと漂った甘い匂い。
それに目を見張って、その大元を取り上げて中身を確認すると、彼は堪えきれずに相好を崩した。


───今日の最後の最後になってようやく渡されたそれを、密かに待っていた自分に気付いて。




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