拍手ありがとうございました!お礼メッセージ第四弾
<遙か3十六夜記 温泉イベントその後>
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一部、ゲームの温泉イベント時にいるはずのない人も混じってますが、その辺はパラレルでお楽しみ下さい。 |
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一部、2パターンある人も混じってますが(銀バージョンと重衡バージョン)、その辺も気にせずお楽しみ下さい(笑) |
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とても簡単な温泉イベントの説明
温泉に入っていると、男湯に女湯の声が聞こえてきた。
朔「一番気になる人は誰なの?」
神子「えーっと……」→選択肢
男どもは一気に耳ダンボに(笑)本来は九郎のイベントで他キャラは短い会話のみですが、こんなおいしいイベント、他キャラも欲しい!ということで書きました。 |
「泰衡さん?…かな??」
「「えええっっ!?」」
彼女自身も首をひねりながら言った答えに、男湯と女湯両方から叫びが上がった。
慌てて、男湯連中は口をふさぐ。きれいにハモった朔の声も大きかったので、幸運なことに向こうには聞こえなかったようだ。
「本気なの!?」
「う、うん……そんなに驚くこと?」
「いえ……でもほら、あの人はいつもあなたに冷たいじゃない。……てっきり嫌いかと思っていたわ」
「そうだね。言うことは冷酷だし、いちいちむかつく言い方するし、無愛想でそっけなくて、あんまり好きになる要素ないよねぇ」
アハハ、と笑う彼女に、朔は不可解そうな視線を向けた。
「そこまで思ってるのに、それでも泰衡殿がいいの?」
「うーん、いいっていうか。あそこまで徹底されてると逆に慣れちゃって気にならなくなるし」
「そういうものかしら……」
「言い方を気にしないで見てみると、けっこうおもしろい人だよ。いちお、やってることは正しいしね」
「そういうものなのかしら……」
その時、苛立ちを表すかのように水音が立って、皆がそちらを見た。
湯殿の中程で、『不機嫌』と題された彫像のように険しく眉根を寄せた彼が、静かに怒りを纏わせている。
かける言葉を探して一瞬ためらった九郎が、少し引きつった笑顔を浮かべた。
「……まぁ、その、なんだ。あいつはああいう奴だから……」
思わずそう言うと、揺蕩っていた怒気がつと彼の方を向いた。
「九郎殿は、神子殿のことがよく分かっておいでのようだ」
あからさまに鼻を鳴らし、眉根を寄せたまま口元を歪める。
濡れた髪を無造作にかきあげながら、泰衡はククッと含んだ笑いを漏らした。
「そのお優しい九郎殿を袖にするとは、神子殿も存外酷薄な方ですな」
「お、おい!おまえ、そういう言い方はないだろう」
「おや、お気に召されませんか。しかし、神子殿はこの中で私を一番気に掛けていらっしゃるご様子。
お優しい九郎殿でも、自分が仕える龍神の化身でも、長く共にいる旧友でもなく、僅かばかり接しただけの私を」
「……………」
「神子殿こそ冷たい、とは、皆様思われませんのかな。さすが神子殿をお守りする方々だ、小娘の無体にも慣れていらっしゃる」
「泰衡!」
バシャンと湯を跳ね上げ、九郎は気色ばんで立ち上がった。
湯に浸かったまま、泰衡は少し目を上げただけで動かない。
しばらく睨み合った後、口をへの字に曲げた九郎が、大きくため息をついた。
「おまえがあいつをどう思おうと構わんが、そういう物言いはやめろ。おまえには似合わん」
「……………」
「冷たかろうが何だろうが、おまえを他とは違うように見るだけでも、あいつには神子の素質がある。俺はそう思う」
「……………」
無言で見上げる泰衡にまっすぐな視線でそう言って、九郎は湯殿の入り口の方へ歩き出した。
「……九郎さーん。どうかしましたー?」
声が聞こえたのだろう、少しだけ心配そうな神子の声が他方から聞こえてきたのに、一瞬足を止めて。
なんでもない、ゆっくりしていろ、と応えてから振り返った彼はもう、いつもの笑顔だった。
「おまえのそれには慣れているつもりだが、おまえも少し変わった気はするな。今の話、あいつには言うなよ」
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