「ぅ……!」
深く指を差し込まれると、息苦しさで喘いでしまう。
内臓をかき回される様な感覚を覚えて、少女は声も出せずに仰け反った。
そして。
彼の指が生き物のように内部を動き 探り当てるかのように、一点を捉える。
途端に、少女の体が反応した。
「アっ、やッ!」
覚えのある、その感覚。
以前、意識のない彼に、一瞬で高みに押し上げられてしまった場所。
弾けるような激しい反応を返されて、天之橋は顔を上げて問うた。
「……どうした?」
「そこ、だめ…っ……ヘンになっちゃうぅ……っ!!」
その台詞も、激しく首を振る姿態も、泣き出しそうな瞳も。
何もかも、欲情をそそるだけであることに、少女は気づいていない。
「構わないよ。……見せてごらん」
そんな返事を期待されていないことを承知の上で天之橋は言い、暴れる膝を割ってそこに口づけた。
「いやっ……あ、まのは…しさ……やめ、て、そこっ……出ちゃ…ぅ、あ、ぁああっ!!!」
内部の敏感な場所を、じれったいくらいゆっくりと刺激しながら、花芯を舌で愛撫すると。
少女はすぐに嬌声をあげ、体を大きく震わせた。
同時に、指を飲み込ませた場所のそばから、こぷりと音を立てて一気に体液が溢れシーツを濡らした。
指を包む粘液よりさらさらとしていて、薄い乳白色の、液体。
「あ……ぁ……?」
初めて味わう感覚に呆然とする少女を盗み見て、天之橋は唇だけで薄く笑った。
「……っ!」
指を一気に引き抜かれる感触で、少女は我に返って。
まだかたかたと震えている足を、抱えられていることに気づく。
天之橋はまっすぐに彼女の瞳をのぞき込み、瞼にキスを落とした。
動揺のあまり、少女の頬に流れる涙が痛々しかったけれど。
それで却って、やめられなくなった。
それでも。
「……」
彼が少女を呼ぶ声には、愛しさが満ちていて。
ともすれば抵抗してしまいそうな彼女を、甘く縛る。
ここで拒否しなければもう引き返せない、そう分かっているのに。
そんな状況で『キスして欲しい』と思わせる彼を ずるいと思った。
息を詰めて、予想される痛みに耐えようとする少女の唇に、暖かい彼の唇が重なって。
優しく口内をかき回され、力が抜けてしまう。
「…っ……ふ……っう、……ン!」
何の前触れもなくあてがわれたそれが、体が反発する前に彼女の中に侵入する。
力をこめて拒絶しようとしても、キスに囚われている意識は反応してくれず。
やがて唇を離したとき、少女の口から漏れたのは、泣き声ではなく快楽の吐息だった。
「ふぁ、……っあ!」
「く……」
ゆるゆると揺らされることに、違和感はほとんど感じず、逆に天之橋の方がその狭さに切なげな息をついた。
部屋に響く、湿った音。
それがますます、快楽を加速させる。
「あ、……ふ、ぁ…あ……ん、っ……」
すっかり辿々しさの抜けた喘ぎが、自分を誘っているようで。
ふらふらとそれに乗り、足を大きく広げさせると、少女の瞼がぴくりと震えた。
「ひぁ、……ヤ……あ、ぁっ……ダ、メ……」
「 っ」
譫言のように呟かれる羞恥の言葉に、一瞬頭が白くなった。
自分は、こんなにも彼女に溺れているのに。
完全には堕していない彼女に、苛立ちを覚える。
どうにかして彼女を貶めたい衝動に駆られ、天之橋は少女の耳元に口をよせた。
「 ?……気持ちいい、って……言ってごらん」
耳朶を舐めながら、そう、囁くと。
「………!」
熱にぼやけていた瞳が、一気に状況を思い出したかのように見開かれた。
「……やっ……嫌…、あっ!」
目を逸らして呟く拒絶に、律動を止める。
「よく、ないのかね?……止めようか?」
言葉面だけは、気遣いのような台詞。
しかし、その中には強制の色が含まれている。
少女は首を振り、固く口をつぐんだが、胸に唇を落とされて思わず喘ぎを上げた。
「ぁう、んんっ……!」
胸の頂点を甘咬みしながら腰を引くと、いっぱいに満たされていた部分の空虚さに、少女は無意識に腰を揺らした。
物欲しげなその動きに、天之橋はクスリと笑う。
「……やぁ…っ……いじ、わ…る、…しなっ、あぁあっ!!」
切なく囁かれる切羽詰まった言葉。恥辱と隷属が入り交じった瞳に、不意をついて突き上げると。
空洞が一気に埋まる圧迫感と、こすれ合う刺激に、少女の思慮の糸がぷつりと切れた。
「ひぁあっ…ぃ……いぃっ……ああっ、いいで、す、ぅっ……!」
「……いい子だ」
彼女の服従に、それだけで達してしまうかと思うくらいの喜悦を覚えた。
普段清楚な彼女が、淫猥に堕ちた様子。
娼婦のような、媚態。
それを見るのは自分だけだという満足感。
彼の激情を満たすそれらに、欠片となっていた最後の理性さえ消し飛んでしまう。
天之橋は、喘ぐ少女の肌に噛みつくように唇を寄せた。
首筋に、胸に、腕に。服を着ていても見えてしまう位置なのが分かっていて、痕を残す。
彼女が自分の所有物であることを、他人に知らしめるために。
その行為と、それによりもたらされる結果を思い限界を感じた彼は、既に中だけで達しそうな少女の膝裏をぐいと押し上げた。
そうすると、抽送の度に彼女の弱い部分が刺激されるのを分かっていて。
女の本能で必死に絶頂を堪えている少女を、追い落とす。
「ぁ、あっ、ん、あ、っひ、…ゃぁんん!!」
数度、そこを擦り上げただけで。
少女は、彼の名を呼ぶ暇もなく達した。
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