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 大晦日頂上決戦! 2 

予定より一時間遅れて、彼女がそこに到着した時、神社の一角は異様な熱気に包まれていた。
面食らいながら人垣を乗り越えて、足を踏み入れる。
「なんなの〜!この騒ぎは〜!!」
「あ、なつみん遅いよ〜!……だから、電話した通り。ハイ、預かってるよ〜。」
畳んだコートを奈津実に渡して、ふてくされたように少女が急拵えの机に肘をついた。
「ごめーん、バイト先の忘年会、顔だけ出すつもりだったんだけどカラオケだったから、新曲をちょっとだけ……エヘ
「そのせいでこっちは大変だったんだからね!もー、誘われたのはなつみんなのに、なんでオマケの私がこんなことになってるのよ〜!」
「ゴメンってば!……だってホラ、三優と一緒に夜店廻りたかったし、アンタの家の方が近かったじゃない?だから、ね?」
忘年会が始まる直前に誘いを受けた奈津実は、彼にそれを伝えた後、少女に連絡を取った。
それが、すぐに行けない自分を申し訳なく思った末の気遣いだったことが分かるから、少女もそれ以上文句は言わずに視線を転じた。
彼女らの目が追う左右には、焦点の定まらない瞳で睨み合いながら、なおも一合升に注がれる酒をあおる二人。

「どオォだ〜?ソロソロ参ったデしょぉ〜〜?ヒゲだんしゃくのクセにィィ〜!」
「髭男爵って言うな!!だいたいだな〜、いつもお前は〜、勝手なことを〜………」

それを見た奈津実は、軽く肩をすくめて腰に手を当てた。
「あ〜ぁ、ダメだこりゃ。せっかくおめかしして来たのにねぇ?……どのくらい?」
「今、二十八杯目……。そろそろじゃないかな……」
そう言った途端、後ろからゴトン、という音が聞こえ、振り向いた二人が同時に苦笑した。
「三優、ビーンゴ!」
「ビンゴじゃないよ、まったく……タクシー呼ばなきゃ。」
「そんなの後でいいよ。せっかく来たから、お店廻らなきゃ〜!さっ、行こ行こ!!」

 

◇     ◇     ◇

 

「ん…んん?う〜ぅ、頭イタぁい……あら?アタシの部屋ねぇ…どうしたのかしら記憶がないワ……」
ベッドで目を覚ました花椿は、しばらく考え込んだ後、蒼白になって跳ね起きた。

「三優っっ!?……アイタタタ……」
「あ、おはようございます、せんせい。」
キッチンでお鍋を見ていた少女が、ふわりと笑う。
その笑顔を戦々恐々として見、花椿はキッチンの入口で直立不動の姿勢を取った。
「あのっ、えぇっと……なんだっけ、ド忘れしちゃったワ……」
そんな彼に、三優はダイニングテーブルにお椀を置きながら更に優しく笑った。
「いくらお酒が強いからって、あんなに飲んだら急性アルコール中毒になっちゃいますよ。もうやめてくださいね?」
「は、ハイ!」
「はい、大根のお味噌汁ですよ。二日酔いにいいんだって、なつみんが教えてくれたの。……これ飲んで、キレイに着付けしてくださいね?」
「……え?…もういいの…?」
背筋を伸ばしたままの花椿が拍子抜けしたように言うと、三優の瞳がキラリと光った。

「今度やったら………」
「も、もうしません!!!」
「……よろしい。」


一方、自室で目を覚ました天之橋は
「………今日は、覚悟しておいた方がよさそうだな……」
部屋中に、彼女が脱いだらしい帯や着物が散乱していて。
備え付けの姿見には、彼女の口紅で書いたらしいメッセージ。

『チョットやソッとじゃ、ゆるさない!!!』

ため息をついて、丸くなって隣で眠る彼女の髪を撫でる。
ピクリと眉をしかめた奈津実が、抱いていた綿菓子の袋に頬を寄せて笑った。
それに、苦笑して。

まったく、君達はいい友達だよ……」

FIN.

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