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  MN'sRM > GS別館 > GS1創作 > 天之橋・キングシリーズ >

 Innocent Pretty(裏Version) 1 

「や、で、す

その言葉を聞いた瞬間、天之橋は自宅に戻るのを諦めた。

常には従順な彼の少女が、無理難題を振りかざすのも気に入らない。
そんな仕草も、可愛らしくはあったけれど。
もとより、子供は苦手なのだ。

「では、水結。君がどちらか選びなさい。
 このまま大人しく帰るか、それとも……上に部屋を取るから泊まっていくか」
どちらも嫌、と言ったらこの場でお仕置きをしていたかもしれない。
少女は、しばらく考えて。
「とまる。だっこして」
にこ、と笑って両腕を差し出した。

少しだけ息をついて、彼女を抱き上げる。
長身の彼が、小柄な少女を片手で抱いて歩くと、周りの客が物珍しそうに視線を送った。
そんなものを、気にするような彼ではないけれど。

「うふふ〜 だっこ〜だっこ〜」
調子はずれな彼女の歌が、あまりにも様にならなくて。
耳元で、囁く。
「じっとしていなさい。ここでお仕置きしても構わないん……」
「あまのはしさん。ちゅーは?」
「……………」
「ねぇ、ちゅー」
「……………」
無言で、会計にカードを渡して。
内心の動揺を全く表に出さないギャルソンに感謝して。
店を出た途端、唇を貪る。

「……んっ……!」

びっくりして体を引こうとするけれど、許さない。
彼女の力が抜けてしまうまで、深く口づけて。

「ふ………」

ことん、と胸に倒れ込む彼女に満足して、エレベータに乗った。

 

◇     ◇     ◇

 

「きゃー

歓声を上げて、広いベッドの上でぽんぽんと飛び跳ねている少女を眺めながら、天之橋は上着を脱いだ。
ネクタイとYシャツも外して、その辺に放り投げる。

「水結。なにか飲むかい?」
自分のための酒を取り出しながら聞くと、少女はうーんと考えて、ぱっと顔を輝かせた。
「あのねえ。みゆうねえ。ケーキがいい!」
「……それは、飲み物かな?」
「ミルクレープと、いちごケーキと、ちょこケーキもー」
「飲み物を聞いてるんだが……」
「のみもの、オレンジジュース!」
「……………」
これは、苦笑していい場面なのだろうか?
そんなことを思いながら、額を抑える。
今日の彼女は、どうにも調子が狂う……と考えかけて。
ふと、思いつく。

「……水結。では、ケーキをあげるから、私の言うことを聞くかい?」
「うん、きく!」
「なんでも?」
「うん!」
無邪気に微笑む少女。
くすりと笑って、天之橋はベッドに片膝をついた。


「では……まず、服を脱いで」
「はーい」
何の躊躇いもなく、彼女は元気に返事をして服を脱ぎ始める。
上着を脱いで、少し辿々しい手つきでボタンを外して。
スカートを脱ぐのに、ぞんざいにころんと寝ころぶ姿も、普段は絶対に見られないだろう。
そこが楽しくもあるが、羞恥心がないというのも少しつまらない。

やがて、下着だけになった少女が窺うような瞳で見上げるのに気づいた。
「……ぜんぶ?」
可愛らしく首を傾げられて、頷くと。
「でも……さむいよ?」
空調は効いているのでそれはないはずだが、裸=寒いという固定観念があるらしい。
天之橋は笑って、その頬に口づけた。
「いいから。脱ぎなさい」
「うん」
重ねて言うと、彼女は素直に下着を外した。

「では、これを着て。良いというまで他に何もつけてはいけないよ」
先程脱いだ自分のシャツを差し出すと、よいしょよいしょと呟きながら身につける。
それは当然、彼女の体には大きすぎて。
二つしかボタンの留められていない胸元からは白い膨らみが零れ、裾は動くたびに腿の付け根あたりまで露わになる。
指先も出ない両手に困っているのを折り曲げてやると、少女は微笑んで礼を言った。

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