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  MN'sRM > GS別館 > GS1夢 > 天之橋・キングシリーズ >

 No.1(朝帰りVersion) 

なるべく音を立てないように、寝室のドアを開けた天之橋は、中の光景を見て首をかしげた。
寝室の並んだベッドの上には、どちらにも人気がなくて。
早朝の静けさそのままの部屋に不思議そうにしながら、上着を脱いでベッドに置く。

「どこへ行ったんだ……こんな早くから」

仕事にかまけて朝帰りをした身で呟いた言葉に、自分で苦笑が漏れた。
帰ってこない自分に怒って、実家へ帰ってしまったか。
それとも、誰かと遊びに行ったか?
昨夜の時点で連絡は入れているのだから、そんなはずはないのに。
考えてみただけの思考に、本気で顔を顰める。

タイを外す手が乱暴になっているのに気づいて、天之橋は着替えるのを中止し、部屋を出た。



おやおや」

あからさまに少女を探し回って使用人に見つかっては、と思いながら、水を飲むためと言い訳をしてキッチンに行った彼は、隣接するダイニングをふと覗いて微笑んだ。
広いダイニングの、これまた広いテーブルの隅っこで。
彼の眠り姫が、子供のように俯せてすやすやと眠っているのが見えたから。

彼を待っているうちに眠り込んでしまったのだろう、その顔には少しだけ疲れの色が見えて。
申し訳ない気分になりながら、天之橋は彼女を起こさないように近づいた。
彼女の前には、色とりどりの料理。
彼の瞳が、倖せそうに細められた。

今夜は帰れない、と告げたにもかかわらず。
少女は、自分のためだけに料理を作り、帰りを心待ちにしてくれる。
心苦しいけれども同時に嬉しい、複雑な気分。
天之橋はそんな胸の内を味わいながら、彼女の頭をゆっくりと撫で、長身をかがめた。

「……こんなところで寝ていては、風邪を引いてしまうよ?……」
「……ぅ…んん……」

彼女の目が覚める前に、身を起こす。
キスしていたことを、知られてはいけないわけではないけれど。
すっかり無意識に、彼女の頬に唇を寄せたことが。
そしてそんな他愛ないキスだけで、こんなに倖せを感じてしまっていることが。

自分で、照れくさかったから。


「あ…天之橋さん……?」

少女が、焦点の定まらない瞳で彼を見る。

「ただいま。すまない、仕事が終わらなくて」
「お帰りなさい……あれ、朝……?」

寝ぼけたままで、周りを見渡す。

「そうだよ。こんなところで寝ないで、きちんとベッドで休まなければ」
「……天之橋さんのお帰りが遅いから、悪いんです」

少女は少し頬を染めて、唇をとがらせた。
その言葉に苦笑する。

「本当だね。……では、これで機嫌を直してくれるかな?お姫様」

そう言って、彼女を抱きしめて頬に唇を寄せる。
優しいキスに、くすぐったそうに身をすくめる無防備な彼女に。
キラリと瞳を瞬かせて、いきなり有無を言わさず唇を奪った。

「ん……!!むー、んーっ」

ぱたぱたと胸を叩く手が、力を失ってしまうまで。
深く口づけて、思う様に味わう。

「……んっ……ふ……」

天之橋はそのまま、少女の膝を割って片足を割り込ませ、テーブルまで彼女を押し上げた。

「んんっ!」

下肢がぐい、と押される感触に、少女の身体がびくりと震え。
いやいやをするように懸命に首を振る彼女に薄笑って、唇を離す。
その時にはもう、体勢は逃げられなくなっていて。
せめて言葉で抵抗するために口を開くと、熱い吐息が漏れてしまう。

「ふぁ……や、やめ………ぁっ!」

テーブルに浅く腰掛けさせられ、押しつけられた足がそこを刺激して、言葉を塞ぐ。
腰を引いて逃げようにも、後ろに回された腕が腰を押さえていて。
もう片方の手は、シャツの上からつっと背中をなぞる。

「だ、だめっ……天之橋さん、……誰か来たらっ……!」
「来たら?……そうだね。さっき、お茶を頼んでおいたから。
 来るとしたら、そろそろかな?」
「!……い、やっ……!」

彼の嘘に、途端に抵抗しようとする体を涼しい顔で押さえつけて、天之橋は彼女のシャツのボタンを外した。

「ヤ、いやっ、……あっ!」

はだけられた服の間から掌が侵入し、少女の胸をまさぐる。
のけぞった白い喉に、噛みつくように口づけを落として。
もう押さえておく必要の無くなった片手を、少女のスカートの中に忍ばせた。

「ひんっ……あ、ふぁ、あぁっ!」

今までゆるく擦られていたそこを、直接嬲られることに、甲高い喘ぎが漏れる。
押しつけた腿が、暖かく潤っていく感触を感じて。
天之橋は、今にも達しそうな少女の体を、意地悪く離した。

「こんなにして……いけない子だ」

べっとりと濡れたスラックスを、目を背ける少女にこれ見よがしに見せつけてから。
そのまま、テーブルの上に彼女を押し倒す。


「どうする?ここでそれともベッドに行くかい?」


わずかに笑いを含んで、掛けられた言葉。
少女は抗わず、沈黙したまま、かすかにうなずいた。

天之橋は、わざと聞こえる様にククッと笑い。
抱き上げられるために伸ばされた少女の手を、首に回させて。
力の入らない身体を抱き上げた。

終わる。

あとがき