土曜日の午後、友達と買物に出掛けた。
特に買いたい物は無かったけど
友達に付合って入った店で、私の目にふとした物が目に入った。
“バラのジャム”
スリムなビンに詰められた、艶やかな赤いジャム
イチゴジャムみたいな赤では無くて、赤のような、ピンクのような
不思議な色・・・
艶やかで、上品で・・・
「バラの紅茶はいかがですか?」
ぼんやりとジャムにみとれてた私に店員さんが小さなプラスチックのコップに
入れた赤い紅茶を差出してくれた。
“バラの紅茶”
程良く冷えた紅茶を口に含むと、ふんわりとバラの香りが鼻孔をくすぐった。
バラの香りは嫌でも天之橋さんを思い出して、自然と表情が緩んでしまう・・・
「あれ、甘い?」
私が天之橋さんの家で味わった紅茶は、バラの香りとスッキリとした味わいだったはず・・・
でも、今飲んでる紅茶は、ほのかな甘みが・・・
「今お客様が見ていたこのジャムが入ってるんですよ。」
私の言葉に店員さんが説明してくれた。
「ジャムですか・・・」
「アロマの効果として、バラはいろんな効果が証明されてるんですよ。
癒しの効果は勿論ですし、体の強壮や胃の調整、あと喉にも良いですしね。
もちろん、お肌にもとってもいいんですよ。」
「疲労回復には効果ありますか?」
「そうですね、効果は期待できるかと思いますよ。」
「1つ下さい。プレゼントでお願いします。」
店員さんの説明を聞いて、購入を決めた。
だって・・・
最近、忙しい天之橋さん・・・
チョット疲れてるみたいだけど、私と会ってる時は私を気遣って
そんな素振りを見せない。
会う時は必ずどこかに連れて行ってくれる・・・
でも、雰囲気とかでわかるもの。
“あぁ、お疲れなんだな・・・”って。
在学中からずっと貴方だけを見ていたのよ
私に隠しても無駄だと思うのに・・・
でも、それが貴方の優しさ。
それを分ってるから、私も気付かない振りをしてる。
でも
やっぱり心配だし・・・
だから、ほんのり甘い、バラの紅茶で少しでも疲れが癒えたら・・・
柔らかなバラの香りとほんのりとした自然な甘み。
砂糖とは違って、紅茶の風味を変えることの無い・・・
逆に風味をアップさせてくれる“バラのジャム”
明日、天之橋さんのおうちに向かう時のプレゼント。
だから、明日は天之橋さんのお家でゆっくりと過ごすの。
何処にも出掛けないで、のんびりと休日の時間を過ごすの。
サンルームで心地良い日差しを浴びながら
綺麗なバラを眺めながら・・・
貴方と2人で・・・
でも私はいつもよりドレスアップしていかなきゃ
綺麗に咲誇るバラに負けないように・・・
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