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  MN'sRM > GS別館 > GS1創作 > 天之橋・約束シリーズ1 >

 大人の約束 2 

今、自分が飲んだワインと同じ味の、甘いくちづけがおりてくる。
少女はほてった頬を更に染めて、それを受けた。
「……水結……本当はこんなこと、レディに聞いていいことじゃないが……」
耳元で囁く声がする。少女は身じろぎして、その先を促した。
「その……私はずいぶん前から、君のことが……好きだったんだ。
 君は学生で、私の学園の生徒で。素晴らしいレディだけれど、それでもまだ若くて。
 私のような者とは釣り合わないと分かってはいたが、それでも……私のものにしてしまいたかった」
話しながら、細い首筋に口をつけると、感じる息遣いに少女が上向いて吐息をついた。
「だから……いい年をしてこんなことを言うのも何だが……
 途中で君がつらくなっても、止めてあげられる自信が、…ないんだ。
 だから、その……君の知識というか経験というか……どうなのか、できれば聞いておきたいんだが」
とても言いにくそうに囁かれる言葉に、少女はしばらく黙り込み、やがて小さくつぶやいた。
「大丈夫です、私……あの、つらくないと…思いますから」

その言葉の持つ意味に、男は鋭い衝撃を受けた。
それは、少女が初めてではないということ。自分以外の男が彼女に触れ、組み敷き、蹂躙したということ。
全身の血が逆流するような熱さを感じながら、しかし、彼はそれを表には出さなかった。
少女が気にするかもしれないと思って。

「そうか……。でも、もしつらかったら言うんだよ。私も努力するから」
それだけいうと、彼は唇を下ろして少女のローブの襟元をくつろげた。
ぴくり、と少女の身体が震える。片手でローブの紐をほどきながら、首筋から胸へ、所有の印を刻んでいく。
「……っぁ……ふっ」
小さく、可愛らしい喘ぎが聞こえ、男は唇だけで少し笑った。
「ふぁ……っあ、んんっ」
過敏に反応する体その癖を付けたのは見も知らぬ別の男。
一瞬、そんな考えが頭を巡り、知らずのうちに胸の突起に歯を立ててしまう。
「あっ!……ぅ」
少女の体が、今度はビクリと跳ねる。
痛みがあるはずなのに、拒否の色のない潤んだ目を向ける少女。その瞳が教えられた情欲を含んでいるように見えて、思わず視線を逸らした。
そのまま二度、三度、男はそこを執拗に責めた。
「ひぁ……ああっ、んっ……」
きつく咬んだ後、傷を治すように舌で愛撫する。
繰り返される刺激に、少女の体がぐずぐずにとろけていく。
いつのまにかローブは床に落とされ、ただ一枚残った薄い布地越しに、男はその部分をなであげた。
「あっ!」
思わず漏れる、叫び。しかしその声は、衝撃よりも愉悦がまさっていた。
それを証明するかのように、触れた指が一瞬にして体液にまみれる。
「……どうしたんだい?こんなにして」
「っ……!」
意地悪な質問に、顔が赤らむ。
少女は息を詰めて、抗議するかのように首を振った。
「黙っていたら分からないよ……ほら」
「あう、は…っ!」
水音をさせながら、少し乱暴に掻きまわすと、簡単に上り詰めそうになる体。

「あ、ああっ……だ、ダメ!」
思わず彼の動きを止めようとした少女の両手を、空いた掌で頭上にひとまとめにして、男は今までにしたことの無いような激しいキスをした。
「ん……!……っふ、あ、ああっ……!!」
嬌声をあげて、高みに上り詰める少女。
その表情を間近で眺め、頬を弛ませながら、こらえ性のない子だ、と囁こうとしたとき。

「う……っ…く……」
押し殺された嗚咽と、隠しても隠しきれない涙に、男の顔から血の気が引いた。
「み、水結!どうしたんだ!?」
調子に乗っていじめすぎたか、と苦々しく思いながら、涙を拭う。
こんなふうに彼女を泣かせるくらいなら、生殺しに耐える方がまだましだ。
本当にそう思って、彼はきゅっと少女を抱きしめた。
「すまない……嫌だったかい?泣かせるつもりじゃなかったんだ、もう何もしないから」
「……っ……違うんです、だいじょうぶ」
くすんと鼻を鳴らして、少女は笑顔を作った。
「嫌じゃないんです……ただ、ちょっと恥ずかしかっただけで」
本当に?と目で問いかける彼に、こくんとうなずく。
「私、嫌なときに泣いて逃げたりはしないです。天之橋さんは……男のひとは普通、女の子の涙に弱いでしょ。
 それを武器にはしたくないから、だから……本当に嫌じゃないです」
一生懸命に説明しようとするその仕草には、確かに嫌悪は含まれていず、彼は安堵の息をついた。
「……だから、あの……続き、天之橋さんのしたいように……してください」
「………!」
カッと頭に血が上るのが分かる。その言葉は多分、少女が思っているよりも強烈に、男の神経を高ぶらせた。
「嫌だったら……言うんだよ」
もう一度そういうと、彼は余裕なく彼女に口づけ、するりと下着を脱がせた。
明かりは落としてあるとはいえ、部屋の天井に反射する夜景の光でおぼろげに浮かび上がる少女の姿態。
視線に耐え、身をよじる姿さえ扇情的に見えるなんて、彼女は思いもしないのだろう。
そんなことを考えながら少女の膝をすくい上げ、潤んだそこに舌を這わせる。
刹那、少女は身をすくませたが、シーツを握り込む手をほぐして片手を繋ぐと、安心したように握り返してきた。
「んっ…ふ、ぁ……」
再び、切れ切れの喘ぎが室内にこだまし始める。舌で愛撫しながらゆっくりと指を飲み込ませると、叫声がひときわ高くなった。
ぬるぬると湿ったそこは予想以上に狭く、彼の指を全方向から締め付ける。
これでは……相当つらいかもしれない。
そうは思っても、暴走し始める欲望は止められそうにない。

欲しい。彼女のすべてが欲しい。
前の男のことなど、全部忘れさせてしまいたい。
自分のことしか考えられなくなるまで。
彼女のすべてに、自分が刻みつけられるまで。

「水結……、いくよ」
それだけ告げるのが、精一杯だった。

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