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    Give you my Life    

 

私の手は血塗られています。

数多の命を消し、未来を奪い。
その上に立って『英雄』と呼ばれる事もあります。

しかし貴方の前に引き出された時、私は殺戮者でしかないでしょう。
奪った未来を胸に、背に、苦しみ抜いて人生を終えたとしても。

だから次の生をお与え下さるなら、どうか。

何の疑いも持たず、見返りも求めず、他者の生命を支えるものにして下さい。
透き通った流れる水や、青い葉を繁らせる樹に。

それらになりたいと、私は心から願うのです。

 

 

 

「大変だったなァ先輩、疲れたろ?」
「あぁ……いや、それほどでもない」

自分のベッドに腰掛けて俯く俺を見て、クルルが眉を寄せた。
クルルにしては珍しく言葉を選んでいる様な沈黙。



今回召還された戦場は、宇宙世界遺産の建物が多く存在する惑星での、暴君の討伐。
威力のある銃砲、大型爆弾などの使用は宇宙連邦から禁止され、小銃やビームサーベルで敵兵を掃討する白兵戦。

その惑星の王は宇宙連邦から脱退後、民に重い税金を課し非道の限りを尽くした。
それにより宇宙連邦が王の討伐と国民救出を目的とした宇宙連邦加盟国連合軍を差し向けると、力の差は歴然としているにも拘わらず老若問わず徴兵し、貧弱な武器で対抗させる。
居城で高見の見物を決め込んでいる王の元に向かう為、無理矢理戦わされている罪の無い国民を踏み越えて。
爆弾を抱えて突撃してくるあどけなさの残る少年兵を。
刀剣を振るえるはずのない老人を。
たとえゴム弾を使用していても、訓練も鍛錬も充分でない兵士相手に、狙いが良ければ死に至らしめる位の威力はあるのに。


昔、星の文化程度を調査するクルルの護衛に付いたある惑星の砂漠の国で、一人の王と出会った事がある。
上空を飛行中にソーサーが不具合を起こし不時着して、砂漠の乾燥と照りつける太陽に衰弱していた我々を王宮まで運んだのは、その国の可愛らしい王女と翼を持った家臣。
王女の強い願いで回復するまで厄介になり、度々顔を出していた王も、尋問とは名ばかりの親しさで我々と話す事を好んだ。
その王が言っていた言葉が、今胸を抉る。

『国とは民なのだ』
『王とは国民の為に働く者。王の為に民がいるのではない、民の為に王がいる』

彼の王なら。
民が犠牲にならぬように、一人でも多く助ける為に、こんな愚かな消耗戦はしないだろう。
それ以前に、このような馬鹿げた戦闘にもなることもないだろう。


ビームサーベルの一撃を受けて倒れる兵士。
振るった自分にも焼け付くような痛み。
振り返ると自分の足跡の様に、動けなくなった人々。

軍人や傭兵を相手に、倒す事殺す事は仕方がないと思える。
そこにその者の意志と命のやり取りが在るから。
しかし、これは。この戦いは。この兵士は。
武器を持っているだけの民間人ではないか。
狙いをつける訓練も、命中させるだけの技量も無く、ただ持っているだけ。
自分は万が一にも倒される危険の無い、攻撃を防ぐ術も無い者を相手に、一方的に暴力を振るっているだけではないか。

何故こんな戦いをしなければならないのか…………?




「……しばらく休暇だろ?俺も取ったから、どっか行こうか?」

クルルが労るような声音で呟いた。
自分の動向を逐一知れる立場にある彼は、今回のミッションも内容も全て知っているのであろう。
いつものようにコンピューターの画面に視線をやったまま。
俺を見ないようにしてくれているのが分かった。

「どこにも行きたくない………ここに、いたい」
「そりゃ色っぽい休暇になりそうだなァ……ク〜ックック」

弱い声にも情けない言葉にも反応せずにいてくれる。
クルルがいつも通りイヤミな笑い声を作ってくれる。
ここに居たい、ずっと。

「クルル」
「ん〜?」
「……クルル」
「あいよ」
「………ク、ルル…」

きっ、と椅子を鳴らして彼が振り返る。
つかつかと歩み寄ってくる。

「何だい、先輩?」

頬に一筋伝った水を手の甲で撫でられ、跪いて、手を握られ、顔を覗き込まれて…どうしたらいいか分からなくなって。
お前が居なくなったらどうしたらいいか分からなくなって。

「…お……前が死んだ、ら………俺はっ………」
「俺は死なないぜェ?アンタがいる限り」

どこからくる自信なのかそう言い切って、頬に残る痕に暖かい口付け。

「では…俺、が……死んだら」

どこか戦場で、雨霰と降る銃弾に当たって、一人で……

「アンタも死なねェ、俺がいる限り。……もし死んだら俺が」

全部食ってやる、欠片も残さず誰にも渡さず。
そうしたら俺の中に居られるだろう?
ずっと一緒に居られるだろう?

「ク、るるっ………」
「先輩、愛してるぜェ」
「う…んっ……クル、ル…俺もっ……好きだ、ク…ルル………」

 

 

 

私の願いを聞いてください。
私の望みを叶えてください。

遠い来世でも。
水になった私で喉を潤し微笑む者が、樹になった私の下で休息し深呼吸する者が。
どうか彼であります様に。

 

 

 

END.

 

 

 

 

 

これは…誰だ!?(笑)クル優しすぎ!ギロ弱すぎ!しかも分かる人には分かるあの方が!!
ヒントは姫と翼を持った家臣です(分かりやすいがな!)

何か色々すみません。<姉 真似した訳じゃないんですが、思考が似通っているので(笑)
クルならやりそう(ギロを食う)と言われましたが、独占欲が強いのでやるでしょうね。確実にやりますね!
苦手な方がいらっしゃったらすいません。でもそこに深い真っすぐな愛があるのだと思います。


<MANA>
ペルキタ(*゚∀゚*)!!!!
って感想言ったら「やはり」と言われました(笑)
だってペルだよ!コブラよりペルだよ!!ペル大好き☆

こーいう理想と現実の狭間で苦しんでしまうのが、ギロの弱いとこだと思います。ヤンさんの元で働くといいよ!
そんでその現実を、ギロに影響のある範囲内でだけなんとかするのがクルのやり方だと思います(笑)根本、ギロ以外どーでもいいからね……クルは。