MANA's ROOM〜トップへ戻る
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    RUNAWAY    

 

耳をつんざくサイレンの音が響きわたる。
黒と白の車体から、赤いライトの隙間を縫って抑揚の無い停止指示。

「オイ、クルル!どうするんだ!?」
「止まった方がヤベェだろ!?振り切るぜぇ、先輩掴まってな!!」
「う、わっっ!?」

急なハンドル操作に、タイヤが悲鳴の様な甲高い叫びを上げる。
後輪が振られて一瞬浮いた途端、腹に廻った手がぎゅっと締まった。

「ちゃんと目ェ開けてな先輩!ショータイムだぜ〜!!」

そのままスピードを上げて交差点に進入。
ハングオンスタイルで左右に車体を振って急ブレーキを踏む車を避け、クルルが心底楽しそうに笑った。

 

◇     ◇     ◇

 

「馬鹿者!!お前といるとろくな事が無い!」
「上手く逃げられたんだからいいじゃねえか」
「無茶苦茶だ!信号無視して事故でも起こしたらどうするんだ!」
「赤なら突っ込むしかねェじゃん?ク〜ックックック」
「な…!突っ込…!き、貴様っ!!」

パトカーを振り切りアンチバリアを展開して小さな河の堤防の隅まで来ると、地球人スーツが装備解除され地面に落ちた。
芝生の斜面に座りこんだ彼を、身軽になったギロロが容赦なく怒鳴りつける。
夜行性の敵性宇宙人を見つける為、定期的に行っている深夜パトロールに『花見も兼ねて一緒に行かね?』と言われた時から何かあるとは感じていたが、まさか地球人スーツを着用して反重力装置さえ付いてない地球の乗り物で行くなど想定外。
何をされたか覚えてないが、一瞬意識が無くなったと思ったら既にそれに乗せられ走り出していて降りる事も出来ず、抗議してもやかましいエンジン音にかき消されてしまい、挙げ句の果てに地球警察に追われる始末。

「桜も終わりだなぁ〜」

説教もどこ吹く風、楽しそうな表情で煙草をくゆらす姿に怒鳴るのも馬鹿らしくなってきた頃、ふと目を合わせた彼が言った。

「これって愛の逃避行ってヤツじゃん?」
「……はあ?」
「愛し合う二人が手に手を取って逃げるんだよ、ロマンチックじゃね?」
「………馬鹿馬鹿しい!」

そう一蹴すると、クルルが不満げに眉をしかめた。

「…何だよツレねぇなァ……ま、オッサンにロマンを分かれっつー方が無理か」
「ああ、分からんな。………逃げる必要など無い」
「は、ん?」

意外そうな声が返ってきた。
ギロロは彼の横にドッカリと座って、腕を組む。

「愛し合っているのなら、堂々としていればいい」
「いや、逃避行ってのは何かしら障害があるから逃げるワケで…例えば親が反対してたり、許されない恋だったり?」
「親は関係無いだろう、二人の問題だ。それに許されない恋など、無い」
「無いィ?相手が実の兄だったり妹だったりしてみろよ」
「子供を作らなければいい。愛し合う事が許されない訳ではないだろう?」
「……………いや、そりゃそうかも知んねェけど…」
「例え……男同士でも。…あ、ああ愛し合っているのなら、相手を誇って堂々としていればいいんだ!」

俺の聞くラブソングが軟弱だと椅子ごと蹴倒す彼が、しゅうしゅうと湯気を立てて真っ赤になっているその絵面に、呆気に取られた俺の口からくわえていた煙草がポトリと落ちる。

「うわァっち!!」
「何やってる!馬鹿!!」

火の当たった膝をバタバタ叩くギロロの手を掴み、クルルが間近でその瞳を覗き込んだ。

「………俺は誇れるぜェ?アンタは綺麗で強くて誰よりも気高い。…けど、俺はひねくれ者で後ろ指指されまくり、このアタマが無きゃ何の取り柄も」
「……クルル」
「だってそうだろ?ムラサキにもいっつもイヤミ言われてんじゃねェか」
「クルル!……俺のす、すすす好きな奴を悪く言うなっ!お前の本当の姿をっ…ガルルも他の奴も、誰も見たことが無いお前を……俺だけが知ってる。俺はそれが嬉しくて……誰にも教えないだけだ!」
「………センパ、イ」
「お前の開発した武器や装備、薬や乗り物やたくさんの装置。それを見る度に、これを作ったのが俺の……ここ、こっ…恋人だと、誇らしく思っている!」

至近距離で吐き出された愛の言葉に、クルルの眼鏡にパキン、と音を立ててヒビが入る。
それを合図にしたようにクルルの顔も盛大に赤くなって。
その顔を隠す為にギロロを抱きしめ、この世界を作っていた装置のリモコンスイッチをオフにした。

「……なっ!?これは…どういう事だクルル!?」

降り立ったそこはギロロが意識を失ったテント前。
突然の出来事に狼狽える彼から、まだ赤い顔を隠したまま俯いてクルルが精一杯の虚勢でイヤミな笑い声を作った。

「録音録画バッチリだぜェ〜…俺の作ったバーチャル世界、よく出来てたろ?ク〜ックックック…」
「きっっ貴様!!また俺をっっ!」
「ヤッパ俺、天才だわ。良かったなァ先輩、また誇れるモノがひとつ増えたぜェ?」
「〜〜〜っっ……!!!」

次の朝、日向家の庭に残ったものは、ロケットランチャーの穴と泥まみれキズだらけの黄色い身体だけ。
そこにあったはずの赤いテントは、持ち主ごとものの見事に消えていましたとさ。

 

END.

 

 

 

 

え〜、MANA姉の創作といいコレといい、あまいですな!メープル週間と名付けよう!!(笑)
MANA姉のクルル可愛かった〜vvvキスとか××とかめっさ計算してた(笑)本当に落ち着けクルル!
しかもあの「俺の恋人に手ェ出すな」宣言が赤だったのがイイw
あまあま読んだらあまあま書きたくなるね!
ハッ!?それを狙って!?(狙いねらわれ姉妹)

あと、何故手間ひまかけてバーチャル世界だったのか(現実じゃダメだったのか)というと、録音録画の問題もありますがそれ以前に本当に事故ったら後ろ(ギロ)が危ないからですv 過保護クルル(笑)
そもそも何でバイクかといいますと、ただ2ケツで自分にしがみついてるギロの映像が欲しかっただけ。ストーカーですから。

MANA姉にも言われたが何故あまあまを甘いまま終わらせられないのか、私……オチを求めるな〜(泣)


<MANA>
あまーーーい!ギロ可愛いー!「恋人」だって!どうするよ!?
私のお願い(ギロが可愛くてゲロ甘)を聞いてくれてありがとう!しかし満遍なくクルも甘い所がクル好きのゆえんですな!変態クルル好きだー!
あと、「子供を作らなければいい」のとこで君との価値観の繋がりを強く感じましたw 私もまじでそう思うよ!