夢をみているのだろうか。
あたたかいまどろみの中で、ふと思う。
今、同じ場所でぬくもりを分け合うその体は、
ほんとうに私のそばにあるのだろうか?
何度も何度も、それを見た。
冷たくなってゆく身体。
もうひらかない、瞳。
目をそらしたくても、確かめなければ前へ進めない。
幾度もの彼女の死と、絶望。それでも。
繰り返さなければ、ここで終わってしまうから。
何度も何度も、それを見た。
冷たい台詞を吐く背中。
ゆっくりと霞んでいく、姿。
耳をふさぎたくても、聞かなければ追うことができない。
幾度もの彼の拒絶と、放擲。それでも。
私は彼を見つけてみせる。
夢を、みているのかもしれない。
あたたかくも はかない夢
目が覚めたら消えてしまう 泡沫
それでもいいと、私は思う。
これが夢であるならば、目覚めて歩き出そう。
あのひとのぬくもりを、この手に繋ぎとめよう。
どれほど道程が長くとも
その運命は 確実に
私の未来に在るから |