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  愛しさと切なさと おまけ。 

「でもなあ、さっきの女の子、何者なんだろうな?」

書類整理をしていた若者が、興味津々といった顔で相方に話しかけた。

「さあな……工作員ならああも堂々と警戒されるようなことを言うはずないが、この場所に似合わなすぎるところが怪しい。
 拘束しておいて、のちほど上層に報告するのが得策だろうさ」

そっけない言葉につまらなそうな顔をして、若者はさらに言った。

「でもさ、可愛かったじゃないか。ああいう子を彼女に持ちたいよな!」
「おまえは不謹慎すぎるぞ。仕事中だろう」
「仕事中に見たからよけい可愛いんじゃないか。
 あの栗色の髪に青緑の瞳………おどおどしちゃってさー、恐がる姿がおびえたうさぎみたいで」

また可愛い、と続けかけた若者は、鋭い視線を感じて振り向いた。
なんと、噂の将軍閣下の片腕で下級兵士のあこがれの的である彼が、そこに立ってこちらを凝視している。

「………そこの君」

厳しい声でいわれて、若者ばかりかその相方さえ縮こまった。
仕事中に私語をしていたことを咎められると思ったのだろう。しかし、彼はまったく予想しなかった言葉を発した。

「その女の子というのは、高校生くらいで黄色いリボンをした、背の低い人ではなかったのか?」

ぽかんと呆気にとられて、二人は顔を見合わせた。

「どうなんだ。答えろ」

声が苛立ちを含む。若者はあわてて視線を戻し、おずおずと答えた。

「は、はい。……もしや、閣下のお知り合い……ですか?」
「その方は今どこにいる?いったい何をしたんだ!」
「そ、それは………」

ますます口を重くした若者は、しかしやがて無言の圧力に耐えきれずうつむいて白状した。

「実は……行動に不審が見られましたので、警備兵に別室へ……」
「なんだと!?」

ふだん穏やかな彼が目を剥いたので、二人は驚愕して言葉を失った。

様を尋問だと!?
 馬鹿者ッ、あの方をどなただと思っているんだ!」

思わずそう叫んで、不審者を尋問する部屋へ向かうために踵を返した彼は、周りの驚きをものともせず爆走していく上官の姿を見たのだった。


「………、様?
 それってたしか……女王候補様のお名前だったんじゃ……」

残された二人は、驚愕の表情を張り付けたまま呟いて青ざめた。



おわり。
はははは……今更焦っても遅いわ!(笑)
でも、うさぎアンジェを若者Aは気に入ったようですね。たぶん後でナンパしようとでも思ってたんでしょう。出してあげてさ。
まあ、ちっちゃい女の子だからって甘く見てはイカンということですな。


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